校長室より
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校長 山下 和宏 |
入学式式辞
令和六年度 愛媛県立西条高等学校 入学式式辞
石鎚の頂の雪もすっかり解け、雪解水(ゆきげみず)は春の流れとなって、ここ西条の街を巡り始めました。まさに春爛漫の今日の佳き日に、御来賓の皆様、保護者の皆様をお迎えして、令和六年度 愛媛県立西条高等学校 入学式をこのように盛大に挙行できますことを心より感謝申し上げます。
ただいま入学を許可しました276名の新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。在校生、教職員全員が皆さんの入学を心待ちにしておりました。それから、保護者の皆様、本日は立派に成長されたお子様の姿を御覧になり、感慨もひとしおのことと拝察いたします。本当におめでとうございます。本校は、来年度には創立百三十年を迎える歴史と伝統のある学校です。四月を迎える度に、十河信二先輩を始めとする諸先輩方があの大手門をくぐって入学なさったのかと思うと、校長の私も身の引き締まる思いがいたします。新入生の皆さんは本校に入学したことを誇りに思い、これからの三年間が充実したものになるように、心を込めて毎日を過ごしてほしいと願っています。
ご存知の通り、本校は文部科学省よりスーパー・サイエンス・ハイスクールに指定されており、新入生の皆さんは、これから文系理系を問わず日々科学的思考を要求されることはもちろん、商業の知識も含めた学際的な学びも重要となります。そのような本校での高校生活がスタートする今日、皆さんに校長の私から二つのことをお願いしたいと思います。
まず、一つ目は、「なぜだろう」と思う心を育ててほしいということです。
高校での学習は、中学校に比べてかなり深く広いものとなります。今までは、ただ暗記してテストを受けてきた人も、高校では結果のみを覚えるのではなく、どうしてそうなるのかという原因やプロセスを掘り下げる人になってほしいと私は考えています。例えば理科や数学で「これはこうなります」と教えられたら、「なぜなんだろう」「どうしてそうなるのだろう」と考えを深め、歴史ならば「この事件の背景には何があったのか」を追求したり、国語では「筆者の主張の根底に何が潜んでいるのか」に考えを巡らせてみるのです。そうすることで、皆さんには問題を発見する能力が養われます。そして、問題が見つかった時、それを解決するために失敗を恐れず、議論したり実験したり行動したりすることで、皆さんは社会に出て本当に役に立つ「問題解決能力」という大きな力を体得することができるのです。どうか、自分の可能性に限界を設けず、失敗を恐れないで、挑戦を楽しみ、力強く躍動してください。
二つ目は、よき友人をつくってほしいということです。
人生は瞬間瞬間の選択で成り立っているといわれますが、みなさんは数ある高校のうちで、この西条高校を「選択」して、今ここにいる同級生たちと出会っています。そして、この出会いは皆さんの今までの数々の「選択」の結実なのです。この中に、共に喜び、共に泣く友人がいると思うとワクワクしてきませんか。本当の友人というものは、単に調子を合わせて、群れているだけでは得られないと私は思います。共通の目標のもとに力を合わせ、額に汗して共にがんばり、励まし合う中から真の友は生まれるものです。でも、当然ながら、この世の中はきれいごとだけではすみません。時には、対立したり相手を信頼できなくなったり、葛藤や不安で立ちすくむこともあるでしょう。でも、その中にあっても勇気を出して仲間を信じ、共に壁を乗り越えようと頑張ることで、自分自身も知らない間に人間的に成長しているものなのです。これからの西条高校での三年間、授業、学校行事、部活動などを通じて、皆さんひとりひとりがどんな活躍をし、どんな笑顔を見せてくれるのか、私は校長としてとても楽しみにしています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のこれからの三年間は、変化と成長が最も激しい大事な時期です。私たち西条高校の教職員は、学習面のみならずあらゆる場面で、お子様が立派な大人へと成長していくためのお手伝いを全力でさせていただきます。どうか本校の教育への御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
では、新入生の皆さんひとりひとりの高校生活が、それぞれの光を放つ輝かしいものとなりますことを心から祈念して入学式の式辞といたします。
令和六年四月八日 愛媛県立西条高等学校長 山下 和宏